NMNが世界的な主要死因「アテローム硬化(粥状硬化)」を緩和・抑制

2024.1.23

中国農業大学の研究者たちは、マウスを使った実験で、NMNが、大動脈洞の動脈硬化性プラークの大きさと壊死を有意に減少させたことから、動脈硬化の進行を抑えるだけでなく、血管細胞機能を保護する作用があることを示唆した結果を得たことを発表。

 

動脈硬化の3種のうちの1つ「アテローム(粥状)硬化」は、大動脈や脳動脈や冠動脈など、太い動脈に起こる動脈硬化で、 動脈の内膜に悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)などの脂肪がドロドロの粥状(プラーク)になって蓄積し、血管壁が厚く硬くなるため、血管の内腔が次第に狭くなる症状です。要因としては、高血圧、タバコの煙、糖尿病、高い血中コレステロール値などが挙げられます。

 

心血管系疾患は世界的な主要死因の第1位であり、アテローム性動脈硬化症に関連した死亡者数は2019年には15,000,000人に達しています。日本においても、生活習慣の欧米化や高齢化社会により,動脈硬化性疾患は増加しており,それらを原因とする心疾患や脳血管疾患は,死亡原因の主たるものとなっています。

 

NMNが世界的な主要死因「アテローム硬化(粥状硬化)」を緩和・抑制

出典:厚生労働省 “主な死因の構成割合(令和3年(2021))“.令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況.2022.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/dl/gaikyouR3.pdf

 

 

これまでの研究で、既に、NMNが心血管系の老化を緩和する可能性は示されており、今回の研究では、動脈プラークの蓄積(アテローム性動脈硬化症)が見られるマウスを使っての試験。NMNを500mg/kg/日、8週間(週6日)腹腔内に注射した結果、生理食塩水(食塩と水)のみを注射したマウスと比較して、動脈プラーク形成が38%も減少した。

 

さらに、プラーク内の脂肪沈着は43%の減少、コラーゲン含量は51%増加、血清中のマロンジアルデヒド(MDA)レベルを低下、同時にスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-PX)の酵素活性を上昇させるという結果も出している。

 

研究者らは、

“In conclusion, this study demonstrated that NMN may exert anti-atherosclerotic effect by reducing inflammation and oxidative stress, providing a potential therapeutic strategy for atherosclerosis. ”

この研究は、NMNが炎症と酸化ストレスを軽減することによって抗動脈硬化作用を発揮する可能性を示し、動脈硬化の治療戦略の可能性を実証している。

と締めくくっています。

 

論文のフルバージョン(英語)は、下記からご覧いただけます。

https://doi.org/10.1016/j.jff.2023.105985

 

 

【出典】

Zi Wang, Shuaishuai Zhou, Yanling Hao, Tiancheng Xu, Peng, Yongting Luo, Junjie Luo

(2024). Nicotinamide mononucleotide protects against high-fat-diet-induced atherosclerosis in mice and dampens aortic inflammation and oxidative stress. Journal of Functional Foods, 112, 105985. https://doi.org/10.1016/j.jff.2023.105985

 

 

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